螺旋階段 -3ページ目

no other place to go

There is no other place to go
(B'z「Brighter Day」/アルバム「THE CIRCLE」収録より)



作詞者の稲葉浩志の訳だと、
「他にどこにも行く場所なんてないよ」
となる。
そう、他にどこにも行く場所なんて、無いのだ。
今、自分の立っているこの場所こそが、自分の戦場。
どこか違う場所に行けば、
何か新しい素晴らしいものが待っているような、
違う自分になれるような、
そんな感覚をつい持ってしまいがちだけれど、
それは、違う。
今、自分が居るこの場所こそ、
自分に一番相応しい場所なのだ。
どんなに絶望的でも、辛い場所でも。
その場所で戦い続けることが、必要なのだ。
むしろ、その場所が安全で安穏と出来る時こそ、
旅立つべきなの、かもしれない。



B’z
THE CIRCLE

どっちだ?

「お前を受け入れない周りが憎いのか、
周りに溶け込めない自分が憎いのか、
どっちだ?」
「…どっちも…」
(日本橋ヨヲコ「G戦場ヘヴンズドア第1巻/小学館より)



自分をわかってくれない、受け入れてくれない周りの人間が憎い。
でも、それは、周りの人間に愛情を持っている、
ということの裏返しで。
人はどうでもいい相手を憎んだりしない。
愛して欲しい相手に愛して貰えないから、憎むのだ。
そして、愛して欲しい人に愛して貰えない自分も、
きっと、同時に憎んでしまう。
だから、憎しみを感じた時は、
その大元に在った筈の愛情を思い出すようにしたい。
憎む前は、きっと、その人のことがとても好きだったんだよ、
と自分に言い聞かせて、
その時の好意や愛情といった感情を思い出したい。




著者: 日本橋 ヨヲコ
タイトル: G戦場ヘヴンズドア 1 (1)

もう一度恋に落ちてみよう

あなたが私を輝かせ
私があなたを笑わせて
もう一度この手をとりあって
もう一度恋に落ちてみよう
まだ 愛があるのなら
(B'z「guilty」/シングル「RING」収録より)



片付けをしていた時に、偶然写真を見付けた。
私は写真を撮られるのが嫌いで、
大体はむすっとした面白くなさそうな表情をしているのだが、
その写真の中の私はとても幸せそうな顔をしていた。
隣に、男が写っている。当時、好きだった男だ。
男の方は、写真を撮られていることを意識していない様子で、
私だけがひどく嬉しそうにカメラの方を向いて笑っている。
その時はきっと、恋の真っ直中で、
隣にその男が居るだけで私は嬉しくて仕方がなかったのだ。
その男と泥沼に陥った時もまだ愛は在った筈で、
その時に、またもう一度、恋心を思い出せていたらな、
と、今になって思ったりしている。



アーティスト: B’z, 稲葉浩志, 松本孝弘
タイトル: RING

来世はない

来世はない 今だけが どこまでも続く
(B'z「X」/アルバム「THE CIRCLE」収録より)



そう、来世は無い。
在るのは、今だけ。
人間は過去にも未来にも生きることは出来ない。
人が生きることが出来るのは、今だけ。
当たり前のようなことだけれど、
今しか生きられないこそ、
今を全力で生き切ることが必要、なのだ。



アーティスト: B’z
タイトル: THE CIRCLE

セックスと攻撃性

河合 セックスと攻撃性というのは裏表で、
    切り離すことができません。
(村上龍・坂本龍一「EV.Cafe 超進化論」講談社文庫より河合雅雄の発言)



愛憎裏表、というけれど、
セックスと攻撃性も表裏一体らしい
(河合雅雄氏は長年サルの研究をしている学者)。
私達は愛していると思うからセックスをする
(というわけではない場合も多いだろうが)のだろうけれど、
実は、憎んでいるから、攻撃したいから、している、
という側面もあるのではないだろうか。
女が少しくらい男を憎く思っていた方が、
男が少し女をうざったい、と思っていた方が、
もしかしたらセックスは情熱的なものになる、
……のかもしれない。
そもそも、憎まずに愛する、ということ自体が、
殆ど不可能なことのように私には思える、けど。



著者: 村上 龍, 坂本 龍一
タイトル: EV.Caf´e(イーヴィー・カフェ)―超進化論

空気を奪い合う

空気を奪いあう 地下鉄のホームで生暖かい風を浴びている
(ポルノグラフィティ「ネオメロドラマティック」/アルバム「THUMPx」収録より)



地下鉄のホームで、息苦しさを感じることがある。
今、通勤に使っている駅はそれ程でも無いけれど、
学生の頃使っていた都心の駅だと、

ホーム中に下水の臭いが充満していて、
溢れかえった人の熱気で、
本当は別に酸欠なんかじゃないのだろうけれど、
ひどく息苦しさを感じたりしていた。
地下鉄のホームで直ぐ隣の他人は、
電車が滑り込んで来た途端、
僅かに空いている席を奪い合う敵になったりする。
どれだけ沢山人が居ても、皆他人で。
あのホームの息苦しさを思い出して、
もしかしたら空気も奪い合っていたのかな、と思った。



アーティスト: ポルノグラフィティ, 岡野昭仁, 新藤晴一
タイトル: サンプ・サンプ・サンプ


アポロ11号は月に行ったっていうのに

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに
(ポルノグラフィティ「アポロ」/アルバム「ロマンチスト・エゴイスト」収録より)



これは、多分、村上龍がよく書いている、
「日本は高度成長期を経て、豊かになってしまって、

近代化という目標を達成してしまった」
という状態をよく表しているフレーズだと思う。
高度成長期後に生まれた私達にとっては、
何もかもがこれからで、右肩上がりで、
という過去は、私達がこれからすることを、
全て達成してしまって奪ってしまった過去に他ならない。
もう、人類は月に行ってしまったというのに、
これから私達は何をすればいいのだろう?
何がまだ、未達成で残されているんだろう?
そういうことを、このフレーズを聴くと、思う。
もう全ては、終わってしまったんだよ、という思いが、
そこには、在る。

まあ、終わっちゃった栄光なんて、基本的には、

知ったこっちゃない、けどね。


(2005.7.18.一部改稿)




アーティスト: ポルノグラフィティ, ハルイチ, ak.homma
タイトル: ロマンチスト・エゴイスト

風景が全然違う

中上 時代だね。
君と僕との六つの差は、
僕が中学一年のときには君は小学一年生というぐらいだね。
俺と姉の距離がそうだもんな。
この時代の六歳の時代差というのは、
最初に出っくわす風景が全然違うんだよね。
(村上龍「村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ」文藝春秋より)



これは、中上健次の発言。
「最初に出っくわす風景が全然違う」という言葉が、
ジェネレーションギャップというものを象徴しているように思う。
多感な年頃に出会ったものというのは、
その人の好みや傾向に多大な影響を与えると思うけれど、
その出会うものは生まれた年が数年違うだけで、
全く違うものになったりする。
……自分と年齢の離れている人と出会う時は、
「この人とは最初の風景が違うんだ」
ということを念頭におかなければいけないな、
と、思った。



著者: 村上 龍, 中上 健次
タイトル: 存在の耐えがたきサルサ―村上龍対談集

好きも嫌いも何もなし

感情見えぬ薄笑い
好きも嫌いも何もなし
(B'z「guilty」/シングル「RING」収録より)



これは、怖い。
笑み、という表情は、無表情よりも、
その人の本音を押し隠す効果が有ると思う。
でも、その笑みの裏に何か隠れていればまだいいけれど、
その裏に「好き」も「嫌い」も「何もなし」というのは、
本当に恐ろしいことではないだろうか。
私も(特に職場だと)無意味な笑顔を作ってしまうことがあるので、
注意したいな、と思う。



アーティスト: B’z, 稲葉浩志, 松本孝弘
タイトル: RING

見捨てない

ボクはボクを 見捨てない
(B'z「パルス」/アルバム「THE CIRCLE」収録より)



これは、当たり前の様だけれど、とても大事なこと。
最後の最後で、味方になるのは、自分だけ。
親も恋人も上司も、助けちゃくれない。
最後の最後で自分を助けられるのは、自分だけ。
だから、自分で自分を見捨てたりしちゃ、駄目。
私も、私を、見捨てない。
みんながそういう風に生きていれば、
依存だとか、甘えだとか、そういうものは無くなるのかな、
と思ったりも、する。


アーティスト: B’z
タイトル: THE CIRCLE