アポロ11号は月に行ったっていうのに | 螺旋階段

アポロ11号は月に行ったっていうのに

僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに
(ポルノグラフィティ「アポロ」/アルバム「ロマンチスト・エゴイスト」収録より)



これは、多分、村上龍がよく書いている、
「日本は高度成長期を経て、豊かになってしまって、

近代化という目標を達成してしまった」
という状態をよく表しているフレーズだと思う。
高度成長期後に生まれた私達にとっては、
何もかもがこれからで、右肩上がりで、
という過去は、私達がこれからすることを、
全て達成してしまって奪ってしまった過去に他ならない。
もう、人類は月に行ってしまったというのに、
これから私達は何をすればいいのだろう?
何がまだ、未達成で残されているんだろう?
そういうことを、このフレーズを聴くと、思う。
もう全ては、終わってしまったんだよ、という思いが、
そこには、在る。

まあ、終わっちゃった栄光なんて、基本的には、

知ったこっちゃない、けどね。


(2005.7.18.一部改稿)




アーティスト: ポルノグラフィティ, ハルイチ, ak.homma
タイトル: ロマンチスト・エゴイスト