風景が全然違う | 螺旋階段

風景が全然違う

中上 時代だね。
君と僕との六つの差は、
僕が中学一年のときには君は小学一年生というぐらいだね。
俺と姉の距離がそうだもんな。
この時代の六歳の時代差というのは、
最初に出っくわす風景が全然違うんだよね。
(村上龍「村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ」文藝春秋より)



これは、中上健次の発言。
「最初に出っくわす風景が全然違う」という言葉が、
ジェネレーションギャップというものを象徴しているように思う。
多感な年頃に出会ったものというのは、
その人の好みや傾向に多大な影響を与えると思うけれど、
その出会うものは生まれた年が数年違うだけで、
全く違うものになったりする。
……自分と年齢の離れている人と出会う時は、
「この人とは最初の風景が違うんだ」
ということを念頭におかなければいけないな、
と、思った。



著者: 村上 龍, 中上 健次
タイトル: 存在の耐えがたきサルサ―村上龍対談集