がんばらなければならないのか | 螺旋階段

がんばらなければならないのか

ただし問題は、教育する側が、
なぜ「ど根性」を出して「一生懸命」がんばらなければならないのかということを、
どう教えていくかだと思う。
(村上龍編集/JMM VOL.8 教育における経済合理性/NHK出版より石澤靖治の発言)



答えは簡単だ。
何故「ど根性」を出して「一生懸命」頑張らなければならないのか、
と言うと、
どんなに社会が豊かになろうが、
人が自立して他人に依存しないで生きていくのは、
「ど根性」を出して「一所懸命」頑張らなければ出来ないことだからだ。
一人で生きていく、というのは、そんなに簡単なことではない。
なのに、それが簡単なことのように勘違いされているのは、
多分、「パラサイト・シングル」や「ニート」と呼ばれる人々の存在に代表されるように、
本来なら一人で生きていけない人間でも、
誰か(大部分は親)が養ってしまっているからだ。
本当の意味で一人で自立して生きる、というのは、
簡単なことではない。
もういい年して家を出て行く気も無い、
将来設計を立てるつもりでもない子供は、
路上に放り出してしまえよ、
と思う私は冷酷なのだろうか……?



村上 龍
JMM〈VOL.8〉教育における経済合理性―教育問題の新しい視点