口はそれ故につぐまれる
からだの中に
深いさけびがあり
口はそれ故につぐまれる
(谷川俊太郎「朝のかたち」角川文庫収録「からだの中に」より)
*
これは、そうだ、と思う。
本当に、叫び出しそうな強い感情が体の中に在る時、
却って、何も言えなくなってしまうことの方が多い。
本当に現実で叫ぶことが出来る時は、
ほんの僅かしか無い。
伝えたいのに伝えようが無い強い感情は、
ただ胸の中で、出口を求めて彷徨うばかり、で。
- 著者: 谷川 俊太郎
- タイトル: 朝のかたち―谷川俊太郎詩集 2