口はそれ故につぐまれる | 螺旋階段

口はそれ故につぐまれる

からだの中に

深いさけびがあり

口はそれ故につぐまれる

(谷川俊太郎「朝のかたち」角川文庫収録「からだの中に」より)




これは、そうだ、と思う。

本当に、叫び出しそうな強い感情が体の中に在る時、

却って、何も言えなくなってしまうことの方が多い。

本当に現実で叫ぶことが出来る時は、

ほんの僅かしか無い。

伝えたいのに伝えようが無い強い感情は、

ただ胸の中で、出口を求めて彷徨うばかり、で。




著者: 谷川 俊太郎
タイトル: 朝のかたち―谷川俊太郎詩集 2